社会保険法第41/2024/QH15号は2025年7月1日より正式に発効した。
2024年社会保険法の新しい規定は2014年社会保険法と比べて、重要な変更が多くあり、労働者および雇用主の権利および義務に直接的な影響を与える。従って、これらの新しいポイントを迅速に把握することが非常に重要である。本稿は2024年社会保険法のいくつかの注目される新しいポイントについて解説する。
1. 強制社会保険の加入対象者の追加
2024年社会保険法第2条1項において、2014年社会保険法第2条1項と比べて、強制社会保険加入対象者を以下に追加された。
- コミューン、村、市民団体レベルの非専従者(2024年社会保険法第2条1項k点より)
- 非常勤職員(2024年社会保険法第2条1項1点より)
- 事業許可を持っている事業世帯主(2024年社会保険法第2条1項m点より)
企業の管理職、監査役、国有資本の代表者、法定に従う企業資本の代表者、取締役会の役員、取締役社長、取締役、監査委員会のメンバーまたは監査役および協同組合法規定に基づいて給料を受け取らないその他協同組合・協同組合連合の選任された管理職(2024年社会保険法第2条1項n点より)
2. 雇用主に対する強制 社会保険の納付期限の延長
- 年社会保険法第34条4項により、雇用主に対する強制社会保険の納付方式および期限は以下のように規定される。
- 月次納付の場合:翌月の最終日
- 3ヶ月ごとまたは6ヶ月ごと納付の場合:その納付サイクルの終了後の翌月の最終日
- 2020年決定505/QD-BHXH号第1条13項により修正・補足された2017年決定595/QD-BHXH号第7条1項および2項に従い、雇用主に対して強制社会保険の納付期限は以下のように規定された。
- 月次納付の場合:当月の最終日
- 3ヶ月ごとまたは6ヶ月ごと納付の場合:その納付方式の最終日
- 2025年7月1日より、雇用主に対する強制社会保険の納付期限が現行規制と比べて1ヶ月延長されるようになった。雇用主が以前の規定と比べて社会保険の納付が1ヶ月過ぎても、滞納とみなされない。
3. 社会保険および失業保険に対する滞納・延滞利息に関する具体的な規定
2014年社会保険法第122条3項により、雇用主は未払い保険料および滞納している保険料を完納するほか、滞納処分として滞納金額および滞納期間に応じて前年度の平均社会保険基金投資利率の2倍に相当する利息を掛けて算出された金額を支払わなければならないとされた。
2024年社会保険法第40条、第41条により、雇用主は滞納・延滞している保険料を全納せざるを得ないことに加え、滞納・延滞日数および滞納・延滞している社会保険額や失業保険額に応じて日率0.03%を掛けて算出された金額を社会保険基金や失業保険基金に納めなければならない。
つまり、2024年社会保険法は2025年7月1日から滞納・延滞している社会保険および失業保険に対する滞納・延滞利息を日率0.03%と定めるようになった。
4. 妊娠・出産する女性労働者の権利の強化
- 不妊治療を受けるため産前休業を取得しなければならない女性労働者に対する出産給付制度の受給要件を追加する。2024年社会保険法第50条により、女性労働者は出産直前24ヶ月間において、最低6ヶ月間の強制社会保険料を払えば、取得できる。
- 妊娠中の女性労働者の産前妊娠検診のための通院休暇期間を増加させる。2024年社会保険法第51条は妊娠中の女性労働者を産前妊娠検診のための通院休暇期間毎回を最大2日間に増加させた。一方、現行の2014年社会保険法第32条では、妊娠中の女性労働者は産前妊娠検診のため、毎回1日間しか休暇を取得できず、医療機関から遠く離れている場合や妊娠に病歴がある場合または異常妊娠の場合では、産前妊娠検診のたびに2日の休暇を取得することができるとされた。
- 流産、人工妊娠中絶、子宮内胎児死亡、陣痛中胎児死亡、子宮外妊娠の女性労働者の産休期間を増加させる。2014年社会保険法第33条により、妊娠が25週以上の状態である場合、女性労働者は最大50日間の産休を取得できるとされた。一方で、2024年社会保険法第52条は、妊娠中の胎児の年齢を下げており、具体的に妊娠が22週以上の状態であれば、最大50日間の産休を取得できるようになった。また、22週以上の妊娠中の女性労働者が流産、人工妊娠中絶、子宮内胎児死亡、あるいは陣痛中胎児死亡に該当する場合、妊娠中の女性労働者および夫も出産した女性労働者と同様に産休を取得できるようになった。
5. 社会保険の最低加入年数に関する要件の緩和
2014年社会保険法第53条により、社会保険加入期間が20年以上であり、退職年齢に達した労働者は退職年金を受け取ることができるとされた。
2024年社会保険法第64条1項により、労働者は強制社会保険の加入期間が15年以上であり、退職年齢に達した場合、退職年金を受け取ることができるようになった。
つまり、2024年社会保険法では、退職年金受給のための強制社会保険の最低加入年数が現行規定より5年間を減少させた。それに伴い、受給月額年金の算出方法も以下のように調整されるようになる。
- 女性労働者の場合、受給月額年金は15年間の社会保険料の納付基準となる平均月給の45%として算出される。その後、社会保険加入1年間ごとに、受給率が2%ずつ加算され、最大で75%までとなる。
- 男性労働者の場合、受給月額年金は20年間の社会保険料の納付基準となる平均月給の45%として算出される。その後、社会保険加入1年間ごとに、受給率が2%ずつ加算され、最大で75%までとなる。
- 男性労働者の社会保険加入期間が15年以上20年未満である場合、受給月額年金は15年間の社会保険料の納付基準となる平均月給の40%として算出される。その後の社会保険加入1年間ごとに、受給率が1%ずつ加算される。
6.「基本給」を「参照額」への置き換え
2024年社会保険法第7条により、「参照額」とは、政府が決定し、いくつかの社会保険制度の納付額と給付額を算出するために用いる金額を指す。具体的には、
参照額は、強制社会保険料の納付基準となる給与/収入の最低額および上限額を特定するのに使われる。参照額も強制社会保険料の納付基準として月給を調整するのに使われ、退職年金や退職一時金を算出するための強制社会保険料の納付基準となる平均月給を算定するにも使われる。
強制社会保険には、参照額は病気後の健康回復のための休暇1日の給付額や出産時、代理母として子供を出産したり、6ヶ月未満の養子を受け入れた時の一時金、出産後の健康回復のための休暇1日給付額、葬祭手当額、そして各親族に対する月額遺族年金の算定根拠になる。任意社会保険には、参照額は葬祭手当額の算定根拠となる。
参照額は消費者物価指数、経済成長率の上昇に基づいて、国家予算および社会保険基金の対応力に応じて調整される。
基本給が廃止されない場合、参照額は基本給と同等である。基本給が廃止される時点では、参照額は当時の基本給を下回らないものとする。
7. 退職年金の受給資格がなく、社会年金給付の受給年齢に達していない労働者への月額社会保険給付制度の追加
2024年社会保険法第23条によれば、退職年金の受給資格となる社会保険加入年数(15年未満)を満たしていないが退職年齢に達した者であり、社会年金給付の受給資格(75歳未満)がまだ取れていない者は、定年退職後の社会保険一時金を受けておらず、また社会保険加入期間を保持せず請求したい場合、自分の拠出金から月額社会保険給付を受け取ることができるという条件が設けられた。
また、月額社会保険給付を受給している間、その労働者の医療保険料は国家予算がを負担する。
8. 社会保険一時金の受給対象者の追加
2024年社会保険法第70条により、社会保険への加入を終了した労働者が申請したい場合、社会保険一時金を受け取ることが可能な対象者が追加された。これには次が含まれる。
- 2025年7月1日以前に社会保険に加入したが、12ヶ月間強制保険にも、任意社会保険にも加入しておらず、かつ社会保険加入期間が20年未満である労働者
- 退役、除隊、または離職する際、強制社会保険加入対象外となるが、任意社会保険にも加入しておらず、かつ年金の受給要件を満たしていない武装勢力に属する者
9. 社会保険一時金を受け取るのではなく、退職年金を受け取るための社会保険加入期間を保持する労働者の保障の向上
労働者が社会保険一時金を受け取らず、加入期間を保持して、社会保険の加入期間を継続する場合、より手厚な保障を享受する可能性がある。例えば、
- 社会保険の加入を継続する場合、より高い給付を受けることができる。なぜなら、傷病給付金、労災補償、職業病給付金などの制度は全て社会保険加入期間(加入期間が長くなるほど、給付額が高くなる)に基づいて計算されるからである。
- 退職年金を受け取る要件がより緩和された。なぜなら、2024年社会保険法により、退職年金を受給するための社会保険への加入期間が現行規定上の20年から15年に短縮されたからである。
- 退職年金を受け取る間、労働者本人の医療保険料は社会保険基金が負担する。(2024年社会保険法第119条2項より)
- 退職年金受給資格を取れておらず、かつ社会年金給付の受給年齢に達していない場合、月額社会保険給付を受け取ることができる。(2024年社会保険法第23条1項より)
- 月額社会保険給付を受け取る間、労働者本人の医療保険料は国家予算が負担する。(2024年社会保険法第23条6項より)
- 社会保険に加入していたが、失業してしまった場合、労働者向けの与信支援政策を受ける可能性がある。(2024年社会保険法第6条2項より)
10. 定年退職時の退職一時金の増額
2024年社会保険第68条により、2025年7月1日より定年退職時の退職一時金は、年金受給率が75%に相当する社会保険加入期間を超えた年数に応じて計算され、社会保険の納付基準となる平均月給の2ヶ月分に相当する金額を受けるようになった。一方、2014年社会保険法第58条はこの退職一時金は社会保険の納付基準となる平均月給の半月分であった。
11. 社会保険基金が負担する医療保険受給対象者の追加
2024年社会保険法第119条2項では、労働者が当月における傷病給付受給のための休暇日数14営業日以上を取得した場合、労働者の当月の医療保険料は社会保険基金が負担すると追加された。
12. コミューン、村、市民団体レベルの非専従者に対する傷病給付、出産給付制度の受益権の追加
2024年社会保険法第42条および第50条では、コミューン、村、市民団体レベルの非専従者に対して2014年社会保険法における退職年金および遺族年金制度のみならず、傷病給付および出産給付制度の受益権を追加した。
13. 出産給付および労災補償を任意社会保険の制度へ追加
現行の2014年社会保険法第4条2項により、任意社会保険加入者は退職年金および遺族年金のみ受給する権利を有する。
2024年社会保険法第4条3項により、2025年7月1日より任意社会保険加入者は出産給付および労働災補償をさらに受給できるようになる。
14. 社会年金給付に関する規定の補足
2024年社会保険法は社会年金給付に関する規定を補足した。これにより、現行の社会的給付金を受けている高齢者は国家予算によって保証される社会年金給付に移行される。具体的には、
2024年社会保険法第4条1項の規定により、社会年金給付には以下の制度が含まれる。
- 月額社会年金給付の受給
- 葬祭費の補助
- 国家予算が負担する医療保険の受給
なお、2024年社会保険法第21条により、社会年金給付の受給対象者は以下が含まれる。
- 退職年金または月額社会保険給付を受けていない75歳以上のものは社会年金給付を受けられる。
- 貧困世帯または準貧困世帯に属し、規定の要件を満たす満70歳から75歳未満のベトナム国民は社会年金給付を受けられる。
従って、現行の政令20/2021/ND-CP号第5条5項と比べて、社会年金給付の受給年齢は80歳から75歳に引き下げられ、また貧困世帯や準貧困世帯に属する国民の場合、社会年金給付の受給年齢は70歳に引き下げられるようになった。
上記は2025年7月1日より施行される2024年社会保険法の注目すべき14の新たなポイントの概要である。2024年社会保険法は加入対象の拡大、労働者、特に女性労働者、任意社会保険加入者、高齢者の保障を向上しているため、現行規定の利点を継承しつつ、多くの重要な内容を修正・補足することが分かった。
これらの変更は法律制度の改善に向け、一貫性と統一性を確保する努力を示すだけでなく、労働者の正当な権利をよりよく保護し、社会保険への長期加入を奨励し、滞納および延滞を最小限に抑え、社会全体のより強力な社会保障ネットワークを構築することに大きく貢献する。
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